森と共に生きる住まい
八ヶ岳での森暮らし
「森の中に家を建てる」のではなく、「森の中に住まう」。
その考え方を教えてくれるのが、建築家・吉村順三が設計した軽井沢山荘です。
派手なデザインではありませんが、森を主役にし、人が自然と共に暮らすための工夫が随所に詰まっています。
八ヶ岳で森暮らしを考えるうえでも、多くのヒントがあります。
① 小鳥の目線で森を見る
森の中で地面と同じ高さに立つと、見えるのは木々の幹ばかりです。
しかし、床を少し高くすると景色は一変します。
枝葉が目線に入り、木漏れ日が広がり、小鳥が見ているような緑豊かな景色が広がります。
森の美しさを楽しむためには、「目線の高さ」がとても大切なのです。
② 床を上げることで暮らしにゆとりが生まれる
床を約1.5mほど高くすることで、森を見渡す視線が生まれるだけでなく、床下空間も有効に活用できます。
野菜の保存場所や薪、ガーデニング用品、アウトドア用品などを収納でき、森暮らしをより快適にしてくれます。
③ 八ヶ岳の自然に備える住まい
八ヶ岳は軽井沢ほど湿気は多くありませんが、小淵沢や小荒間には土砂災害のイエローゾーンに指定されている場所もあります。
そのような土地では、建物の基礎をしっかりと高くすることで、万が一の豪雨や土砂の流入時にも建物への被害を最小限に抑えることができます。
自然の中で暮らすからこそ、美しさだけでなく、安心して長く暮らせる備えも大切です。
④ 小さく住み、大きく自然を楽しむ
森暮らしでは、建物を大きくすることが豊かさではありません。
必要なものだけを備えたコンパクトな住まいにし、その代わり森へ向かって大きな窓を設ける。
室内と森がつながることで、実際の床面積以上の開放感が生まれます。
家の広さではなく、森全体をリビングとして楽しむ。
それが八ヶ岳らしい暮らし方ではないでしょうか。

森と共に生きる住まい
吉村順三の軽井沢山荘には、「自然に逆らわず、自然を暮らしに取り込む」という思想があります。
八ヶ岳の森にも、その考え方はよく似合います。
森を切り開くのではなく、森を活かす。
家を主役にするのではなく、森を主役にする。
そんな住まいが、年月を重ねるほどに美しく育っていくのだと思います。

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